アイデンティティーという言葉を良く聞くようになりましたね。
組織でも、個人でもアイデンティティーがなければだめだぞと!いうように。
でもその意味はと問われると説明は難しいですよね。また、それをいかに創り出すかはもっと難しいですよね。
わかりやすくお話するために、明治時代の有名な自由主義者の中江兆民とその息子の中江丑吉の生きざまと、私の心の師である上司との新人時代の実例をお話します。中江丑吉が若い弟子達にアイデンティティーを問われた時の面白い比喩がありますのでまずこれから紹介します。
「人間は一人一人が自分の原則を持たねばならない。その原則がアイデンティティーである。言葉をかえれば“らしさ”をもつこと。これが他人との違いを示すこととなる。
例えば、梅干の皮と肉を食べた後、堅い殻があって、その中に天神様と呼ばれる種がはいってる。人間にもこの天神様がなければ駄目だ!
らっきょうのように、剥いても剥いても皮ばかりというのは本当の人間ではない
つまりこの梅干の種がその人間にとってのアイデンティティーになる。
つまり人間はお粥になってはいけないということだ。
おにぎりでなければいけないということだ。おにぎりでなければならない。
おにぎりは握られてるが、一粒一粒がまだ米粒だということをはっきり示している。
社会の中に身をおきながらも、自分らしさをしっかり保っているよ、ということだ。君たちはおにぎりになりなさい!」
なんとなくニュアンスはわかります?では兆民・丑吉親子の話は後にして、まず私が若手時代に経験した上司との実話でこのアイデンティティーを説明します。
私は若手時代、船舶用の機器の輸出をしていました。単品の輸出だけでなく、プラモデルの様に船一式の機器をパッケージにして輸出することもあり、これはお客様にとって大変付加価値のある仕事でした。
オーストラリアの造船所の購買・エンジニアが御一行で来日し、約1ケ月以上にわたり、当社が窓口になり日本の各メーカーとの仕様打合、価格ネゴ等終わらせやっと仮注文書の締結に至りました。
そして半年後、その造船所は船主から本船建造の正式契約を受注したので、仮契約を本契約にする為、再度来日されました。
その際 造船所の購買のトップの口からでた言葉は「本契約の移行にあたり再度、各機器の価格の再検討をお願いしたい」というものでした。
それを聞いた瞬間 私の上司は立ち上がり、手に持っていた分厚い仮注文書を「Nothing Special!」といって投げつけました。運の悪いことに、それが遠く正面に座っていた購買トップの席まですべっていき、その方の胸にドンとあたってとまりました。
先方は全員一斉に立ち上がりました。そしてその場を出ていこうと…。 |